万引きは、刑法上で「窃盗罪」に該当する重大な犯罪です。しかし、「見つかれば品物を返し謝罪すれば良い」とか「代金を支払えば見逃してもらえる」といった考えを持つ犯人も少なくありません。そのため、万引きによる被害を減少させることは容易ではありません。
今回は、小売店における万引きの現状や、未然に防ぐための対策についてご紹介いたします。
万引き被害の実情
万引きは、1件あたりの損害額が少なくても、その発生件数が増加すると、店舗の経営に深刻な損失をもたらす可能性があります。大きな損害を被ると、店舗の存続に関わる事態となることもあります。
店舗における万引き被害の現状
警察庁のデータによると、万引きの認知件数・検挙件数は年々微減していますが、直近の令和3年においても認知件数は約8万6,000件、検挙件数は約6万3,000件と、未だに多くの万引き被害が発生しています。小売店などの経営に大きな影響を及ぼす可能性があるこの問題に対して、なかなか思うように被害を減少させることができていないという現状が浮かび上がります。
万引き被害が多い小売店の種類万引き被害に遭いやすいとされる小売店の例として、以下が挙げられます。
スーパーマーケット:
- 商品数が多く、広範囲にわたる店内では盗みやすい状況が生まれやすいため、頻繁に被害が発生します。
コンビニエンスストア:
- 従業員数が比較的少なく、店員の目が行き届きにくいと考えられるため、被害が発生しやすい場所とされています。
書店:
- 書籍は換金性が高く、転売目的で商品を狙われることがあります。
ドラッグストア:
- パッケージの小さい低額商品が多く、盗まれても大きな損害になりにくいと思われるため、被害が発生しやすい傾向があります。
これらの店舗をオープンされる場合は、それぞれの特徴からくるセキュリティ上の課題があるため、十分な対策が求められます。
管理面において狙われやすい店舗の特徴
万引き被害に遭いやすい店舗には、種別だけでなく店舗の維持・管理面において狙われやすい特徴も存在します。以下はその一例であり、これらの状況がある場合には早急に改善策を検討することが重要です。
店内に死角が多い:
- 犯罪者は見通しの悪い場所での犯行を好むため、死角の多い店舗は狙われやすくなります。見通しを改善するために、レイアウトやディスプレイの工夫が必要です。
防犯カメラ設置など具体的な対策を実施していない:
- 防犯カメラの存在は犯罪の抑止力となります。防犯対策を強化し、防犯カメラの設置や定期的な点検を行うことが重要です。
従業員の数が少ない:
- スタッフが少ないと店内の監視が難しくなります。十分なスタッフ配置を確保し、不正行為を見逃さないようにする必要があります。
店員が客の顔や目を見て挨拶をしない:
- 店員が客と対話し、挨拶をすることで、犯罪者が顔を見られる意識が生まれます。これが万引きの抑止に繋がります。
万引き犯の年齢層
高齢者の万引きが増加した背景
高齢者の万引きが増加している要因には、複数の社会的背景が影響しているとされています。先の「高齢者による万引きに関する報告書」では、以下のような要因が挙げられています。
高齢者の人口増加:
- 高齢者の人口が増えていることが一因であり、その中には生活が苦しいと感じる方も増加しています。
生活の苦しさ:
- 高齢者の中には経済的な苦しさを感じている人が増加しており、これが万引きの要因となっています。
認知機能の低下:
- 認知機能の低下により、犯罪行為が犯罪としての認識が希薄になり、万引きが起こりやすくなっています。
孤独感やストレス:
- 家族との関係が希薄化し、孤独感やストレスが高まった高齢者が、その対処として万引きに走ることがあります。
これらの要因は、日本の高齢化が急速に進んでいるという社会の現状と結びついています。高齢者の孤立を防ぐためには、様々なソーシャルサポートの充実が必要であり、これが高齢者の万引き問題に対する考慮事項となっています。
万引き被疑者の再犯率
万引き被疑者の再犯率について法務省の犯罪白書(平成26年版)に掲載された情報をもとに見てみましょう。
前科のない万引き事犯者の再犯率を検証すると、性別に関係なく、窃盗再犯が27〜28%ほどとなっています。性別による再犯率の差はほとんど見られず、おおよそ4人に1人が再犯していることが明らかです。
また、窃盗前歴がある事犯者ほど再犯率が高まる傾向が見受けられます。窃盗前歴のない事犯者の再犯率は約12%ほどである一方、3回以上の前歴がある事犯者の再犯率は約40%に迫ります。これにより、万引きの前歴が多いほど再犯率も高まる傾向が示唆されています。
続きは次回!!!